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Keiichi HayashiK1884 Research Technology Space Industry

Space Access · Launch

宇宙への輸送そのもの——ロケットと軌道間輸送機(OTV)の代表6社を「なぜ顧客が選ぶか」の観点で分析する。

Space Access レイヤーの最終出口、Launch(打ち上げ) カテゴリ。宇宙に到達する輸送手段そのものを提供する企業群だ。Seraphim Ecosystem Map 2026 では Rockets(地上から軌道へ)と OTVs(軌道間輸送機=軌道に入ってからの”ラストマイル”)の2サブカテゴリに整理される。

6社の比較

事業の強さは各社レポートの総合評価スコア(10点満点)。上場企業は時価総額、非上場は累計調達額を記載。

企業サブカテゴリ何を売るか設立 / 本社資本規模強さ
SpaceXRockets再使用ロケット+衛星通信の垂直統合2002 / 米CA時価総額 約1.77兆ドル(IPO)10
Rocket LabRockets小型ロケット+宇宙システムの垂直統合(上場)2006 / 米CA時価総額 約485億ドル8
Impulse SpaceOTVs軌道間輸送機(ラストマイル物流)2021 / 米CA10億ドル超8
D-OrbitOTVs軌道間輸送機ION(欧州の宇宙物流)2011 / 伊3億ドル超7
Isar AerospaceRockets小型ロケットSpectrum(欧州独立系)2018 / 独約8.7億ユーロ6
MomentusOTVs水プラズマ推進の軌道間輸送機(上場)2017 / 米CA非公開(SPAC上場)4

読み解き

  • SpaceX の一強と、その影: SpaceX は打ち上げと Starlink を垂直統合し、事業の実力は10点満点。だが本文が指摘する通り、上場後のバリュエーション(売上187億ドルに対し時価総額1.7兆ドル超=売上の約90倍)は成長の完全な織り込みを前提とする。「事業の強さ」と「投資妙味」は別問題、という典型例だ。なお2026年6月IPOの調達額約750億ドルは単一報道ベースで例外的に大きく、要追検証。
  • Rocket Lab の垂直統合戦略: 小型ロケット2位という立場から、Mynaric(レーザー通信、2026年4月買収完了)や Motiv Space Systems(2026年5月買収完了)を取り込み、「打ち上げ+部品+システム」の総合サプライヤーへ。唯一の上場純宇宙企業として、SpaceX とは違う土俵で規模を作る。
  • OTV という新しい層: Impulse・D-Orbit・Momentus はいずれも「軌道に入った後」の輸送を担う。打ち上げコストが下がった結果、「相乗りで軌道まで行き、そこから目的の軌道へ自力で移動する」需要が生まれた——コスト低下が生んだ二次市場の典型だ。Impulse(元SpaceX一号社員Tom Mueller率いる、Mira3回実飛行)が先頭を走る。
  • 軌道未到達リスク: Isar(6点)は欧州最大の資金を集めながら、機体がまだ一度も軌道に届いていない。ロケット事業は「飛ぶまでは何も証明されない」という残酷さを最も強く受けるサブカテゴリで、資金力だけでは評価が上がらない。

個社レポート